2026.06.02

“制作して終わり”にしないサービスサイト制作――リニューアル後6ヶ月の改善プロセスを全部見せ

Webディレクター人のこと仕事のこと
# ABテスト運用# KPIマネジメント# アクセス解析設計# サービスサイト改善# ヒートマップ分析

公開直後1ヶ月:ベースラインを整えるアクセス解析設計

ジェイ・ラインでは公開日をスタートラインと捉え、最初の1ヶ月は「測れる状態をつくる」ことに集中します。GA4・Search Console・タグマネージャーを整理し、以下のイベントを必須で計測します。

  • 問い合わせ完了/途中離脱
  • 主要CVに紐づくクリック(電話リンク、資料DL、エントリーなど)
  • スクロール率・滞在時間・離脱ページ

並行して、流入チャネル別のKPIツリーを作成し、「セッション数→コンテンツ到達率→CVR」の分解をクライアントと共有。ここで合意した指標が、以後6ヶ月の定例とABテストの判断基準になります。

2〜3ヶ月目:ヒートマップとログから課題仮説を立てる

ベースデータが溜まった2〜3ヶ月目は、「どこで・なぜ離脱しているか」を可視化します。ヒートマップでは主に以下を確認します。

  • ファーストビューの注目エリアと未読エリア
  • スクロール到達率とCTAの配置位置
  • クリックの集中・誤クリックポイント

あわせて問い合わせログをカテゴリ分けし、「よくある質問」「誤解されやすい点」「比較検討で迷う軸」を抽出。アクセスデータと照合し、「サービス理解が浅いまま離脱している」「料金ページで迷っている」といった、改善テーマ単位の仮説をディレクターが整理します。

ABテストの設計:クリエイティブとデータの橋渡し

仮説が見えたら、ディレクターが「KPI→仮説→検証パターン」をワンセットで設計します。例えば、

  • 目標:問い合わせ率+20%
  • 仮説:ベネフィット訴求が弱く、比較検討で負けている
  • 検証:ファーストビューのコピーとCVボタン文言のABテスト

この要件をもとにデザイナーにはレイアウトとビジュアル意図を、エンジニアには計測仕様と出し分け条件を明確にブリーフィング。定量データと定性的インサイトを併記した「1枚企画書」フォーマットで共有し、チームが同じゴールを見て制作できる状態をつくります。

月次定例:KPIレビューと次の打ち手のテンプレ構成

公開後6ヶ月は、月1回の定例で「振り返り→解釈→次の施策」をテンプレート化して進行します。構成例は以下です。

  • 1)前月KPIサマリー(セッション・CV・CVR)
  • 2)トピックページ別の成果とインサイト
  • 3)実施したABテストの結果と学び
  • 4)翌月の改善施策案と優先順位

資料はスライド10枚前後に絞り、「判断に必要な粒度」に整理。数値報告に終始せず、「なぜそうなったか」「次に何をやるか」を明文化することで、クライアントの事業判断とサイト改善を一体で進めます。

社内連携:ディレクターが担う“翻訳者”としての役割

ジェイ・ラインのディレクターは、データとクリエイティブの“翻訳者”として動きます。特徴的なのは以下の連携スタイルです。

  • エンジニアとは:実装コストと検証精度のバランスを相談し、スプリント単位で改善を設計
  • デザイナーとは:ユーザーインサイトを共有し、「なぜこの表現が必要か」を言語化
  • 営業・HRチームとは:実際の商談・採用の反応をフィードバックループに組み込む

これにより、「売りやすい/採用しやすい」現場感と、「数字で語れる」Web改善を両立させています。

若手育成:6ヶ月プロジェクトを通じたディレクションの型づくり

若手ディレクターは、6ヶ月の改善プロジェクトにサブディレクターとしてフル同行します。役割は段階的に、

  • 1〜2ヶ月目:データ収集・レポートドラフト作成
  • 3〜4ヶ月目:小規模ABテストの企画と進行補佐
  • 5〜6ヶ月目:一部パートの定例ファシリテーション

先輩ディレクターは、毎月の定例資料と改善チケットを題材にフィードバックを実施。「仮説の立て方」「優先順位の付け方」「クライアントへの伝え方」を、案件を通して習得できるようにしています。

“公開後こそ腕の見せどころ”というディレクションへ

こうした6ヶ月のプロセスを前提にサービスサイトを設計すると、「制作完了」が目的ではなく、「事業成果に効く改善サイクルを回すこと」がディレクションの中心になります。データと現場の声を起点に、エンジニア・デザイナーとチームで検証を繰り返すことで、サービスの価値が伝わり続けるサイトへ育てていく。この長期伴走型の進め方こそが、ジェイ・ラインがサービスサイト制作で大切にしているスタンスです。