2026.09.14

顧客折衝が苦手なエンジニアから“指名されるテクニカルディレクター”になるまで

テクニカルディレクター人のこと
# WordPress要件定義# テクニカルディレクション# ヒアリングスキル# 提案資料作成# 議事録作成術

コーダーから橋渡し役へ──最初のつまずきと役割の切り替え

入社当初の彼は「仕様書さえあれば黙々と実装する方が得意」というエンジニアでした。 WordPress構築や公開作業の経験は十分でも、制作会社との打ち合わせでは表情が固く、メールも「承知しました」だけで終わりがち。MARUTTOの案件にアサインされた当初は、

・要望の背景を聞き出せない

・決まっていないことをあいまいなまま進めてしまう

・社内コーダーへの指示が抽象的になる

といった課題が顕在化しました。そこで上長と相談し、「コーダー」ではなく「技術が分かる進行役」として、自分の役割を再定義するところから成長ストーリーが始まりました。

MARUTTO案件で鍛えた「聞き方」──会話例から学んだこと

最初に取り組んだのはヒアリングの型づくりです。例えば、制作会社から「問い合わせフォームを追加したい」と相談された場面。以前は「承知しました。設置します」で終わっていましたが、先輩に添削された会話例では、

・「誰が」「どのタイミングで」使うフォームか

・送信データを「誰が」「どのように」確認・保管するか

・スパム対策や個人情報保護のレベル

まで確認する質問が並びました。「要望をそのまま受ける」のではなく、「運用まで含めて本当に困っていることは何か」を一緒に整理する姿勢に変えたことで、会話の主導権を握りやすくなり、打ち合わせ後の不安も減っていきました。

議事メモと要件整理──炎上を防ぐ「言語化」の習慣

次の壁は「言った・言わない」問題でした。スケジュールや対応範囲の認識ズレから、後半で手戻りが発生することも。そこで徹底したのが、議事メモと要件整理のテンプレート化です。

・決定事項/保留事項/宿題事項を分けて記載

・画面単位で「目的」「要素」「挙動」「更新方法」を箇条書き

・仕様が揺れそうな箇所には「要確認」と明記

といったシンプルな型を作成。打ち合わせ直後に5〜10分でラフをまとめ、制作会社に共有することで、「この粒度まで整理してくれるなら安心」と評価が変化。社内コーダーも迷いなく手を動かせるようになり、案件全体のストレスが減少しました。

提案資料の構成例──「技術的に可能」から「ビジネス的に最適」へ

さらに一段上の価値を出すために取り組んだのが、提案資料づくりです。彼が意識した構成は、

1. 現状整理(運用体制の簡潔な整理)

2. 課題の言語化(機会損失・リスクを含めて記載)

3. 解決方針(複数案がある場合は比較表も添付)

4. 実装イメージ(ワイヤー例・フロー図・運用ステップ)

5. スケジュールと体制(責任分担を明示)

という流れ。単に「WordPressで実現できます」と語るのではなく、「なぜその構成にするのか」をビジネス視点で補足することで、「技術の人」から「相談相手」へと見られ方が変わり、指名で声がかかるきっかけになりました。

打ち合わせ前の3つのチェックリスト──準備で8割が決まる

顧客折衝への不安を小さくしたのは、打ち合わせ前のルーティンです。彼が実践するチェックリストは大きく3つ。

1.目的整理:今回のゴール/決めたいこと/持ち帰ることを一枚にまとめる

2. 情報収集:既存サイトの構成、過去のやり取り、想定ユーザーを事前確認

3. 質問リスト:仕様・運用・体制・リスクの4カテゴリで「最低限聞くこと」を10項目前後用意

これにより、緊張しても「紙に沿って進行すれば抜け漏れない」状態を作り、会話に集中できるようになりました。結果として、初対面の相手とのミーティングでも主導権を持って進められる場面が増えていきました。

転職前からできる顧客折衝トレーニング──日常業務で鍛える3つの場

彼が振り返って「もっと早くやっておけばよかった」と語るのが、転職前からのトレーニングです。特別な環境がなくても、

・社内調整:デザイナーや営業に、仕様の背景を確認しながらタスク整理を代行してみる

・副業案件:小規模なサイト制作で、要件ヒアリングから公開まで一通り経験する

・ロープレ:同僚と想定ミーティングを行い、録音して言い回しを改善する

といった実践は可能です。ポイントは「自分が窓口になる経験」を意図的に増やすこと。こうした積み重ねが、入社後にMARUTTOの案件で活躍するための土台となり、技術とビジネスの両面で頼られる存在へと成長する支えになっています。