“伝わる企業サイト”をつくる情報設計:UXプロセスとデザイナーの1日
朝イチは「事業の翻訳」から始まる
ジェイ・ラインのUI/UXデザイナーの1日は、デザインツールを開く前に「事業の翻訳」から動き出します。
営業・ディレクターが取得したヒアリングシートをベースに、
・事業の収益構造
・強みと競合
・人事 / マーケが本当に困っていること
をざっと整理。足りない前提はオンラインMTGで質問し、ユーザー視点の言葉に言い換えていきます。
この段階では「かっこいいサイト」ではなく、「誰に・何を・どの順で伝えると成果に効くか」をざっくり言語化。ここで解像度を上げておくと、後工程の迷いと手戻りがかなり減ります。
関係者の“温度差”を見える化するステークホルダー整理
次のステップは、社内外のステークホルダー整理です。
企業サイト案件では、
・決裁者(社長・役員)
・現場担当(人事・広報・採用担当)
・ユーザー(求職者、取引先、メディアなど)
それぞれ「何を達成したいか」「何を避けたいか」が微妙に違います。
ジェイ・ラインでは簡易なマッピングを使い、
「主語ごと(経営 / 採用 / マーケ /ユーザー)にKGI/KPIを並べる」
「優先度A/B/Cでタグ付け」
をして合意を取ります。ここまでをテンプレート化しておくと、レビュー段階の“好み論争”を減らしやすくなります。
情報設計とナビゲーション:迷わせない骨組みづくり
ステークホルダー整理まで済んだら、サイトマップとナビゲーション設計に入ります。
企業サイトでは、
・トップで「何の会社か」を3秒で伝える
・グローバルナビは5〜7項目に絞る
・採用 /問い合わせなどCVは常に1クリック以内
といった基本を押さえつつ、事業の構造に合わせて情報階層を引き直します。
ジェイ・ラインでは、PC・SPでナビの役割を分けて検討することも多く、特にSPでは「検索」「目的別入口(職種別・課題別)」を積極的に検討。ここでの判断が、後のワイヤーとUIの制約条件になります。
ワイヤーフレームで「会話」と「検証」を回す
ワイヤーは単なるレイアウトではなく、「議論のためのプロトタイプ」という位置づけです。
・ファーストビューで誰に何を約束するか
・1画面ごとにユーザーの行動ゴールは何か
・スクロールの“山と谷”をどこに作るか
といった粒度でコメントを書き込み、ディレクター・ライターとすり合わせます。
細部のビジュアルは決め込みすぎず、「要素の優先度」「コンテンツの構造」に集中。レビューで出た意見は「ペルソナの行動」と「事業KPI」に紐づけて評価し、感覚のぶつかり合いにならないように着地させます。
UIデザインとチーム連携:判断基準を共有する
UIフェーズでは、FigmaやXD上でコンポーネントを組みながら、情報設計で決めた優先度をビジュアルに翻訳します。
例として、
・採用導線は「色」「位置」「余白」で一貫性を持たせる
・事業領域はアイコンや図解で瞬時に理解できる形へ
といったルールを定義。
営業・ディレクターとは、「この画面の成功状態は何か?」を都度確認しながらデザインを調整します。エンジニアとは、余白やモーションの意図を共有し、「どこまでが必須か /代替案OKか」を明確にすることで、実装とのギャップを最小限に抑えています。
レビューで意見が割れたときの着地のさせ方
企業サイトのレビューでは、「社長の想い」「ブランドイメージ」「CV重視」の三つ巴になりがちです。
ジェイ・ラインでは、
・主語を明確にして議論する(経営 / 採用 / ユーザーのどれか)
・その画面のKPIを1つに絞る
・違う案は「A/Bテスト候補」として一次収容する
といった方法で衝突をほどきます。
デザイナーは結論を押し切るのではなく、「どの指標で評価するか」を提示する役割。これにより、主観ではなく仮説と検証に話を移しやすくなります。
面接で「企業サイトのUX」を語るときのトークテンプレ
最後に、転職時に自分のUX設計を語る際の構成例です。
1. プロジェクト概要(業種 /目的 / 自分の役割)
2.事業・ユーザー理解のために行ったこと(ヒアリング、デスクリサーチなど)
3. ステークホルダーの利害と優先度をどう整理したか
4. 情報設計〜ワイヤーで意識したこと(導線、ナビ、CV設計)
5. UIに落とし込む際の判断軸(トンマナ、コンポーネント設計など)
6. チーム連携と、意見が割れたときの対処
7. 成果と学び、次に改善するとしたら何をするか
この流れで話せると、「見た目」だけでなく、事業とUXをつないで設計できる人だと伝わりやすくなります。