2026.07.31

顧客折衝が苦手なエンジニアから“指名されるテクニカルディレクター”になるまで|案件ベースの成長ストーリー

テクニカルディレクター
# WordPress要件定義# テクニカルディレクション# ヒアリング術# 議事メモの書き方# 顧客折衝スキル

ぎこちないメール対応からのスタート

ジェイ・ラインのテクニカルディレクターAさんは、前職ではフロントエンドエンジニア。コードは書ける一方で、顧客との会話や打ち合わせには苦手意識があり、「営業同席なら話せるが、自分が窓口になるのは怖い」と感じていました。入社当初のメールは、件名が曖昧、結論が見えにくいなど、制作会社からの質問が逆に増えてしまうことも。MARUTTO案件の増加に伴い、ヒアリング・仕様整理を任される中で、「技術だけでは案件は前に進まない」現実に向き合い、コミュニケーションを「スキル」として学び直すことを決めたのが出発点でした。

MARUTTO案件で鍛えられたヒアリングと要件整理

MARUTTOは「低単価×品質重視」で、限られた時間の中で的確なヒアリングと要件整理が求められます。Aさんは、初期段階で「目的」「スコープ」「制約条件」の3点を必ず確認する型を導入。「御社のKPIは?」「納期に絶対動かせないイベントは?」など、炎上の火種になりやすいポイントを早めに言語化することで、後工程の手戻りを削減しました。社内コーダー向けには、要件・前提・優先度・未確定事項を1枚の議事メモに整理し、「仕様がブレない土台」を用意。これが制作会社からの信頼につながる最初の変化でした。

実際の会話例・議事メモ・提案構成の工夫

Aさんが意識しているのは「会話をそのまま仕様に落とせる形で聞く」ことです。例として、クライアントの「更新しやすくしたい」という要望に対して、「更新頻度」「誰が更新するか」「PC・スマホどちらを優先するか」を必ず追加で質問。議事メモには、「決定事項」「要確認」「Aさん側の提案」の3区分で整理し、次回打ち合わせの冒頭で合意を取ります。提案資料も、①現状整理②課題③解決方針④構成・機能⑤スケジュール⑥リスクと対応案、というシンプルな構成に統一。制作会社からは「そのまま社内共有に使える」と評価されるようになりました。

打ち合わせ前の3つのチェックリストと炎上防止質問

Aさんがルーチン化しているのが、打ち合わせ前の3つのチェックリストです。1つ目は「情報把握」:過去メール・共有資料・サイトを10分で確認し、論点を3つに絞る。2つ目は「ゴール設定」:今日決めること・決まらなくてもよいことを分けてメモに書く。3つ目は「リスク仮説」:納期・予算・CMS・移管まわりの懸念を事前に洗い出す。そのうえで、炎上防止の質問テンプレとして「この要件が変わる可能性はありますか?」「この決定を変えられるのは誰ですか?」を毎回確認。ここまで行うことで、無理な前提で案件が進むことを防いでいます。

「この人に任せたい」と指名されるようになるまで

こうした積み重ねにより、Aさんは「聞き漏れが少ない」「仕様がクリア」「リスクを先に教えてくれる」テクニカルディレクターとして、制作会社から指名を受けるようになりました。特徴的なのは、技術的に難しい要望が出た際のスタンスです。「できます/できません」で終わらせず、「その目的であれば、別案として◯◯という方法があります」と提案をセットで返すよう徹底。WordPressやサーバ・ドメイン移管の実務経験を背景に、実現可能性と工数感を同時に提示することで、「相談しやすい技術窓口」というポジションを確立していきました。

転職前からできる顧客折衝トレーニング

顧客折衝に苦手意識があるエンジニアでも、転職前から準備できることは多くあります。たとえば、副業案件で小規模サイトの要件整理から納品までを一通り経験する、社内の営業・企画担当との打ち合わせに積極的に参加し「議事録係」を買って出る、同僚とロープレを行い、要望ヒアリング〜提案までを10分でやってみる、といった取り組みです。ポイントは「会話を構造化してメモに落とす」練習を繰り返すこと。テクニカルディレクターの仕事は、技術とビジネスの通訳であり、その基礎体力は日々の小さなコミュニケーションから鍛えることができます。